ナチュラルハーモニー通信(2018年遅めの春号)

こんにちは。いつもお世話になります。ナチュラルハーモニー代表の宮田です。
四季ごとのお便りのはずが、これが今年に入っての始めての号になってしまいました(^^ゞ
ご無沙汰してしまい、申し訳なく思っております。

今回のテーマはエステティックのあゆみについてです。なぜかと言いますと・・・

取扱い化粧品メーカーさんが、2020年からのブランドコンセプトに「フランスのエステティックと日本人の肌にあった化粧品処方の融合」というテーマを掲げていまして、エステの専門学校などを卒業していない私は、フランスのエステティックがそもそもどういったものなのかを知りたいと感じておりました。

それがきっかけとなり、本や尊敬する美容業界の方のお話を手がかりに関連する事柄をまとめてみました。

よろしければご一読ください。

エステティックの意味 

エステティックが法定化されていない日本では、国家資格を有する国々の教育基準に則った指針や資格を様々な団体が設けていますが、例えば、ビューティーソムリエール協会によればエステティックとは「一人ひとりの異なる肌、身体、心の特徴や状態を踏まえながら、手技、化粧品、栄養補助食品、および機器、用具等を用いて人の心に満足と心地よさと安らぎを与えるとともに、肌や身体を健康的で美しい状態に保持、保護する行為」と定義しています。

ストレスが蔓延し、心と身体のバランスを失いがちな現代社会の中で、エステティックは緊張や不安を和らげ、豊かで積極的な生き方、恒常性や免疫力を高めるのに役立っているといえます。

日本でのあゆみ

日本でのエステティックは1905年(明治38年)に理美容師の芝山兼太郎氏がアメリカ人に学んだフェイスマッサージを自身が経営する理髪店に「美顔術」として導入したのが始まりでした。
兼太郎氏は施術をする時の各指の圧を、料理用の秤を使って指導をしたそうです。

1952(昭和27年)フランスで学んだ芝山みよか氏(兼太郎氏の実娘)が日本で始めて本格的なエステティックサロンを開業。

1960年代に当時の勇敢マダムを顧客としたフランチャイズでの多店舗展開がスタート。

1970年代は経済成長と共に、「10人一色」の時代と言われるような、誰もがみんなと同じであることに幸せを感じた時代で、化粧品も肌質に関わりなく皆同じアイテムを使用していました。

1980~90年代は、経済的な豊かさに伴って、消費者の思考も「みんなと同じ」から「私らしさの追求」へと成熟してゆきます。
しかし、当時はエステティックに関する規制や基準がなかったため真のエステティックを模索し続けながらも、異業種からの参入も手伝って、サロンが乱立。技術者への教育不足や金銭トラブル、悪質業者の出現が問題になりました。

当時のエステティックは欧米やヨーロッパのエステサロンを真似た店舗づくりが優先された一方、数ヶ月の勤務で店長に抜擢されるなど、業界の成長と”実”が伴わないサロンも多かったようです。
富裕層だけでなく、美容に関心の高い一般の女性もサロンに足を運ぶようになり、認知度が高くなった反面エステティックに対する消費者の誤解を生じさせた時期でした。

成長と混迷の中、日本のエステは市場規模を拡大し、2000年頃に業界の売上のピークを迎えます。
2002年にはエステティック業が日本産業分類に始めて登録され、一つの独立したサービス業として
認められました。
一方で、高額なチケット販売に対して特定商取引に関する法律など、法の規制を受けることになり
それ以降、大手のエステサロンの多くが一気に衰退しました。

フランスのエステティック 

エステティックの発祥の地として知られるフランスの歴史は18世紀にさかのぼります。
第二次世界大戦後、エステティシャンという職業が確立し、1963年にはフランス文部省の管轄で、国家資格「C・A・P(セー・アー・ペー)」が設置されました。これはエステティシャン達が国に対して国家資格法案を提出し、14年間の裁判の後、法案が通り、設置に繋がったそうです。

店舗は、化粧品メーカーの経営する「インスティテュート」と呼ばれる大型店、「サロン」と呼ばれる中規模店、2~3人のエステティシャンがいる「キャビン」と呼ばれる小規模店に分類されます。

また、医師やキネジテラプート(マッサージ師)との摩擦を避けるために、エステティシャンは美容目的以外のことはできません。

お客様と長いお付き合いをして、その方の健康の上に成り立つ美容に一生寄り添うことがエステティシャンの仕事。
そのお客様のための技術、化粧品を駆使し、アレンジするオートクチュール(個人に合わせた、オーダーメイド)なお手入れのプロというわけですね。

新たな時代のサロンの在り方

お客様の美容の管理者として、長くお付き合いするのであれば、その費用をある程度まとめてお預かりすることは然るべきですが、90年代の日本の大手サロンで販売していた高額チケットはリピーターさんのためのものというより、エステティックのファーストユーザーに購入させてしまったことが問題だったのだと思います。

そのお金の使い道が、施術者の教育や質の高いサービスの提供などのお客様に還元するためではなく、豪華な設備の新しいお店を作ったり、広告費の元手になったことも。。。

日本のエステティック市場は約4.000億ともいわれ、その6割が施術、3割が物販、メンズエステ市場が1割だそうです。

1960年以降、経済と共に急成長を遂げた半世紀余りの中で、美と健康の在り方や価値観もどんどん変わってきました。

そして、さらに超高齢者社会の到来、社会不安障害の増加、アンチエイジング意識の高まりから、エステティックはまた新たな時代を迎えようとしています。

今後、人口知能が発達しても、人の身体に触る施術の仕事は無くなることはありません。

お客様一人ひとりのライフスタイルに重きを置いた時代に相応しい生き方、美の在り方を提案できる個人サロンさんの役割は大変意義深いと感じています。

 

参考文献:ビューティーソムリエールエステティック理論編(社)ビューティーソムリエール協会発行

参考情報:エステティック時事放談