ナチュラルハーモニー通信(2016年秋号)

こんにちは。代表の宮田です。

残暑お見舞申し上げます。

また、いつもお世話になりありがとうございます!

先日、解剖生理学者の三木成夫先生が

書かれた「ヒトのからだ」という 本を

読んでいましたら、自分の思考回路になかった

印象的なことが 書いてありましたので、

今回はそのことをご紹介させていただきます。

 

人間がストレスを感じる生き物に

なってしまった進化の過程について

とてもユニークな考察をされていました。

 

ストレスを生み出す身体の場所は”脳”。

ヒト以外の動物に較べて人間の脳は

”大脳皮質”という人間らしい高度な知能を司る

脳の部分が発達しています。

だからこと、学習したり 他人の気持ちに

共感したり、意欲的に物事に挑戦したり

することが出来ます。

 

そして、そのすごい脳の力は時として、

「もっとこうだったらいいのに!」という

欲求を抱える原因にもなり、

これが人間が感じるストレスの正体であることは

皆さんよくご存知だと思います。

 

< 生物の分化 >

今はこんなに高度な脳の持ち主である人間も、

進化の歴史の中で始めからそうだった

わけではありません。

 生命はおよそ35億年にあらわれ、あらゆる生物は

時代を生き抜くために進化を遂げてきました。

 太古の海に始めてその姿を現した生物の祖先は

細胞がたったひとつの単細胞生物でしたが

三木先生によると、長い年月の間にしだいに

環境の変化に応じて多細胞生物になりながら

2つのグループに分かれました。

それが「植物」と「動物」です。

 

 植物も動物も共に「生→殖→死」のリズムを

刻んでいて、それが生物の定義となりますが

二つのグループに分かれた条件の違いは、

”植物のもつ生まれながらの合成能力が

動物には全くない”ということです。

 

 

< 自力で生きる植物、それに較べて動物は・・・ >

植物は豊かにふりそそぐ太陽の光のもとで、

地上のどこにでもある材料、つまり簡単な

無機物・水・CO2をもとにして、自分の力で

生命の源を作り上げます。

 

四季の変化にそのままに従い、その中で子孫を

増やしてゆきます。

一方、人間を含む動物は生まれながらにして

植物が持つ合成能力が欠けているため

生きるために必要な栄養分を外から

取り込まなければなりません。

 

自然から利用できるのは空気と水だけ。

あとは自分が動いて餌を確保します。

しかもその動き方は、泳ぐ(魚類)、

這い回る(爬虫類)、飛ぶ(鳥類)

歩く(哺乳類)といった地球の動きに

逆らった冒険といえるような行為です。

 

生き延びるためには冬の荒野に木の実を求めて

さまよったり(草食動物)、夜の闇にまぎれて

草食動物に襲いかかったり(肉食動物)、

あげくの果てに仲間どうしが

襲い合う(人類)こともいとわない。。。

 

そんな動物の暮らしが、いかに自然に逆らった

窮屈なものであるかと考えるとき、

植物やお花の美しさがより優雅に感じるのは

私だけでしょうか。

 

< 人間の宿命 >

そろそろ、内容をストレスに関係する脳のことに

収束してゆきますね。

動物は多くの餌を獲得するために、危険を避けながら

上手に動き回ろうと感覚(神経系)と

運動(骨格筋肉系)の機能を発達させてきました。

 

この進化は植物のような合成能力が欠けた

動物たちに、いわば必然的に覆いかぶさってきた

宿命ともいえます。

脳は人間が一生懸命発達させてきた感覚を司る

神経系の最高峰の器官なんだと思うと、

必死に動き回って進化したあげくストレスからも

逃れられない人間は

地球上で最も厄介な生物なんだな~と

痛感するこの頃です。

「ヒトのからだ」三木成夫(著)

※他にも面白いことが色々書いてあります!
良かったら読んでみてください。